池袋
木曜日、休みだったので池袋へ出掛けた。
目的はショッピングだ。幾許か金にゆとりがあるので、少し前からネットでギターを物色していた。もう、無性にギターが欲しくなっていたのだ。
俺、考えてみたら実は自分でギターを買った事が一度もない。初めて手にしたギターはYAMAHA のフォークギターで、兄貴が買ったやつだ。AriaProⅡ のレスポールも、何故か今は高松の実家にあるSquier(Fender Japan)のテレキャスターも兄貴が買った。一時期玉野の実家にあった赤いGRETSCH もどきのセミアコは、家の近所に粗大ゴミで出ていたのを拾ってきたやつだ。レコーディング用に一番よく使っているYAMAHA のショートスケールのエレアコも、これは故あって「ヒキ小森のおじちゃま」ことオオキ君が買ってくれたやつだ。
ひとつも自分で買った事がないのだ。音楽好きを自称する40がらみのオッサンが、こんな事ではイカンだろう。パチンコで多少潤っている今がチャンスだ。これを逃せば、また暫く買えないだろう。という訳だ。
しかし「潤っている」と言っても所詮小遣いをチョビチョビと浮かせたに過ぎない。潤いレベルがショボい。予算は 15,000円以内。えっ、そんな値段でギターが買えるの?と驚かれるかも知れないが、これが買えるのだ。
Epiphone のギターなら買えるのだ。
Epiphone。かつてGibson 社のライバルとして君臨していたが、1957年にGibson 社に買収される。「Epiphone」ブランドはそのまま残り、Gibson のギターと同じ工場で生産されるようになる。ジョン・レノンがEpiphone の「Casino」を愛用した事でこのギターが人気を博したのはこのちょい後の頃らしい。
1970からEpiphone は日本工場での生産を始める。安価で高品質なGibson 直系のギターという事でこれまた人気を呼んだが、1982年から韓国を中心としたアジア諸国の工場でも生産を開始する。USAメイドのEpiphone と比較して、ジャパンメイドはうんと安価だが、このアジアンメイドはもうそんな次元ではない。激安だ。バカ安だ。この頃からちょいちょい楽器屋に行ってはEpiphone をチェックしてはいたのだ。
生産国が韓国だろうが台湾だろうがマレーシアだろうがベトナムだろうが、Epiphone はEpiphone である。伝統と歴史のあるブランドだ。アジア諸国で生産してはいても、ブランドに受け継がれるモノ作りの哲学まで失ってはいまい。
Epiphone のギターをネットで物色するのは専ら「イケベ楽器」のページだ。どういう絡みかよくは知らんが、Epiphone の品揃えが他店とはちょっと比較にならない程充実している。そこで購入候補に挙がったのが、レスポール・ジュニア。ピックアップがひとつで、何かロックな感じがする。これ、13,800円。安っ!
一応そのつもりで池袋まで行った。出発が遅くなってしまって、着いたのは夕方5時頃だったが、人多いなぁここ。皆何の用事があってこの辺を歩いているのか?大きなお世話か。駅から10分弱歩くと「イケベ楽器」がある。
入った途端、圧倒的数量で客を出迎えるEpiphone 群、圧巻だ。目的のレスポール・ジュニアはすぐに見つかった。しかし至近距離でしげしげ見るとどうもピンと来ないなぁ。と言うかちとダサい。うーん、どうすべ?
と、奥の列に立っているSGが目に留まる。俺、SGのボディシェイプは嫌いじゃない。これはこれで相当にロック感がある。カッコ良いなぁ。値段は?どれどれ…。15,800円だって。おぉなるほど。で、良く見ると「本日限り10%Off」と書いてある。おいおい、14,220円か?良いじゃん。よし、コレにしよ!
店のお兄ちゃんに「コレ下さい」と声を掛ける。「色はどうします?」と訊いてくる。赤と黒が2本並んでいる。少し悩んだが、やっぱりSGは赤じゃねぇの?赤にした。「試奏されますか?」と訊かれたが丁重に断る。アンプに繋いで人様に聴かれるに耐えうる腕前は残念ながら俺には無い。
お兄ちゃんが電卓を片手に「10%Off で14,220円ですが、細かいのは切っちゃいますね」と言う。14,000円?安っ!ま、しかし周辺の物も色々必要だ。「ケースやストラップはどの辺にありますか?」と訊いたら、「全部セットで付いてますよ」だと!
ソフトケースを店の奥から持ってきた。最近のはリュックサックみたいに両肩に掛けて背負えるようになっている。へぇ、なるほどねぇ。で、それとは別にアクセサリーセットみたいな詰め合わせ(?)をくれた。
ストラップ、シールド、ワインダー(弦巻き)、ポリッシュ、クロスが入っている。詰め合わせケースの上部で一番場所を取っている奴は何だろう?訊いたらTシャツだって。ふーん、微妙だな。ま、洗い替えにはなるか。
にしても、ギターとソフトケースとこの詰め合わせとで、全部合わせて14,000円だ。安っ!本当に大丈夫か?ケース+詰め合わせとで6〜7千円程はしそうだ。よっ、太っ腹!これと別に買ったのはピックぐらいだ。
という訳で生まれて初めて自分でギターを買った。何かバンドをやり始めた中高生のようなウキウキした気分だ。
部屋に帰って早速取り出す。コストを安く上げる為に、ネックはセットネックではなく、ボルトオン構造だ。それと、コントロールつまみは2つしか無い。が、その辺は別に大した問題ではない。レコーディングに支障はなかろう。
実際に弾いてみると想像よりもネックが薄く、手に馴染むと言うか、実に弾きやすい。ま、どっちみちコードカッティングが主で、余り凝った演奏など出来ないのだけど。
まだアンプに通して音を出していないので何とも言えんが、生鳴りは悪くない。良く鳴る。そっから先はアンプ次第だ。
部屋にいる間はこいつを触っている事が多くなりそうだ。これからは俺の事を「羽村のアンガス・ヤング」と呼んで欲しい。
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